内科Internal medicine

三宅おおふくクリニックでは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関する検査、診断、そして治療までを一貫して提供しています。

当院の特徴
  • ・まずは診察。症状の有無を診断します。
    ・症状がある方はご自宅で簡易検査を行います。
    ・必要があれば1泊2日の検査入院も実施可能です。※21:00~7:00退院
    ・検査結果は呼吸器専門医が診断し、適切な治療を行います。
    ・症状の重さに応じてCPAP療法、マウスピース作成など適切な治療をご提案します。
    ・症状がない方でも、自費での検査が可能です。(健診のオプション追加も可能)
    ※自費での検査はお申し込み後、ご自宅で検査を行い、結果をご郵送します。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

    睡眠中に何回も呼吸が止まり、ぐっすり眠ることができない病気です。おおきないびきや起床時の頭痛、夜間の呼吸停止、日中の強い眠気などの症状があります。潜在患者は人口の2~3%(約300万人)といわれています。 英語ではSleep Apnea Syndromeとなるため、その頭文字を取りSASとも呼ばれています。
    この病気の怖いところは、睡眠中に体へさまざまな負担がかかることです。その最たるものが、心臓への負担です。SASを放置すると、心臓に大きな負担を与え、冠動脈疾患や心筋梗塞、脳梗塞などの発症につながり、突然死のリスクも高まります。 また日中の眠気などのために仕事に支障をきたしたり、居眠りによる自己の発生率を高めたりするなど、社会生活に重大な悪影響を引き起こします。
    しかし、治療法が確立されているため、適切に検査・治療を行えば決して恐い病気ではありません。

    SASの定義・重症度

    睡眠中に10秒以上呼吸が止まることを「無呼吸」といい、呼吸が浅くなることを「低呼吸」といいます。
    SASの定義は、一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上起こるか、睡眠1時間当たりの無呼吸や低呼吸が5回以上の場合を言います。
    また、睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計をAHI(無呼吸低呼吸指数)と呼び、この指数によって重症度を分類します。重症度や原因に応じた治療法が選択されます。

    AHI(無呼吸低呼吸指数)
    重症度 正常 軽症 中等度 重症
    1時間あたりの
    無呼吸低呼吸回数
    0~4回 5~14回 15~29回 30回以上
    症状SAS
    代表的な症状は、「いびき」「日中の強い眠気」「熟睡感がない」「夜間頻尿」「倦怠感」「頭痛」「集中力・記憶力の低下」があります。
    原因SAS
    いびきをかくということは、気道が狭くなることが原因です。
    リスクSAS
    SASの代表的な症状に、日中の眠気があります。それによる最も大きなリスクが、居眠りや集中力の低下によるさまざまな事故です。
    合併症SAS
    睡眠と呼吸が妨げられるため、血管、心臓、脳、自律神経など全身にさまざまな影響を及ぼします

    セルフチェック

    Q1.毎晩、大きないびきをかきますか?
    Q2.「睡眠中に呼吸が止まっていた」と指摘されたことがありますか?
    Q3. 昼間眠くなることがありますか?
    (居眠り運転をしそうになったり、会議中にうとうとしてしまうことがよくありますか?)
    Q4.朝起きたとき、寝たはずなのに疲れが残っている感じや頭重感・頭痛がありますか
    Q5.若い頃より、体重が増えて、顔つきが変わったと言われますか?
    Q6.メタボリックシンドロームの傾向がありますか?
    1つでも当てはまるものがある場合は、SASの兆候があるかもしれません。一度詳しい検査を受けてみませんか?

    検査・診断の流れ

    睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがあり病院に受診した際に受ける検査・診断の流れを詳しくご紹介します。


    ※症状がない方はまずスクリーニング検査を自費にて受けていただきます
    ※AHI(無呼吸低呼吸指数):1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数

    • 1. 問診・睡眠尺度評価(ESS)
      いびきや無呼吸の指摘、自覚症状、既往歴などの問診に加え、病的な眠気かどうかを判断するために睡眠尺度評価(ESS)という質問表が用いられます。
      ただ、SASであっても眠気を訴えない患者さんが多いため、自覚症状がなくても、循環器疾患を伴っている患者さんなどはSASを疑い、検査を実施する場合もあります。
      スクリーニング検査にてSASの疑いが考えられる場合、睡眠中の検査が実施されます。
    • 2. スクリーニング検査 
      原則症状がない方にスクリーニング検査として自費(4,400円:税込・郵送代込)で行います。
      健診のオプション追加やトラック協会の助成金も利用可能です。
      SASなのか、それ以外の病気なのかを判別するために、パルスオキシメーターにて検査を行います。指先にセンサーをつけ、血液中の酸素の状態と脈拍数を測定することで、無呼吸によって起こる酸素の低下状態が診断されます。自宅で検査機器を取り付け、睡眠中の酸素の状態を測定します。
      SASの疑いがある方は精密検査を受けてからの診断になります。
    • 3. 簡易PSG検査(3割負担の方:保険診療で約3,000円)
      睡眠時無呼吸の有無と重症度を判定するために実施される検査です。
      簡易PSG検査は、指先・呼吸のセンサーをつけ、睡眠中の血液中の酸素、呼吸の状態を測定します。これにより、10秒以上の無呼吸・低呼吸の1時間当たりの回数(AHI)、酸素の低下状態を測定します。
      ご自宅でもできる検査ですので、より普段の睡眠に近い状態で検査をすることが可能です。
      重症度(AHI:40以上)によってはすぐに治療を開始することができます。
      *5≦AHI<40の場合は、確定診断のため、入院による精密検査が必要です。
      簡易PSG検査は症状のない方は自費(8,800円:税込・郵送代込)で行うこともできます。
      トラック協会の助成金も利用可能です。
    • 4. ポリソムノグラフィ(PSG)検査 
      1泊2日入院検査です。3割負担の方:保険診療で約25,000円(個室代込)
      21:00頃入院し、翌朝7:00には退院できるので、仕事が終わってからお越しいただき、翌日も仕事へ行って頂くことも可能です。
      スクリーニング検査または簡易PSG検査を行い、SASの疑いがある方の確定診断のために行います。
      PSG検査はSAS検査では最も精密な検査方法です。脳波・筋電図・呼吸・血液中の酸素等、さまざまな生体信号を測定します。
      これにより、10秒以上の無呼吸・低呼吸の1時間当たりの数(AHI)、SASの種類(閉塞性・中枢性)、酸素の低下状態はもとより、睡眠の質(睡眠の深さ・分断の有無)、不整脈の有無、その他の睡眠障害の有無等について診断されます。
      この検査はさまざまなセンサーを装着する必要があるため専門の検査施設等に入院して行います。
      PSGは睡眠を判定できるため、総睡眠時間が計測でき、より正確にAHIを算出できます。
    • 症状がないけどSASが気になる方は、自費検査や健診のオプションで追加可能
      1)パルスオキシメーターによるスクリーニング検査  4,400円(税込・郵送代込)
      2)簡易PSG検査 8,800円(税込・郵送代込)
      結果で疑いがある方は、入院による精密検査をおすすめします。
    • トラック協会の助成金を使用したスクリーニング検査について
      岡山県トラック協会会員の企業であれば助成金が受けられます。
      助成金を使用しての検査をご希望の場合は、企業担当者の方から検査希望者の健診前にお問い合わせください。トラック協会への事前申請が必要となります。
      お問い合わせは健康管理課まで。

    治療について

    AHI(無呼吸低呼吸指数)が5以上で日中の眠気やいびきなどの症状が見られる場合に、SASと
    診断されます。重症度は、AHIが5以上15未満で軽症、15以上30未満で中等症、30以上で重症とされています。
    SASの治療にはCPAP(シーパップ)治療、マウスピース(口腔内装置)、
    また、アデノイドや扁桃腺肥大が原因の場合は外科的手術による治療などがあります。

    CPAP療法

    持続陽圧呼吸療法。治療として第一に選択される呼吸療法です。CPAP装置から鼻に空気を送り、閉塞した上気道をおし広げることによって、睡眠時の無呼吸をなくし、酸素不足を解消することができ、睡眠の質を向上させることができます。

    CPAP療法は脳卒中の再発リスクを軽減する
    脳⾎管障害を発症した患者はSASの合併率が⾼いことが知られており、アメリカの研究によるとおよそ60%の患者がAHI>10のSASを合併していたという報告があります。
    脳⾎管障害を発症し、かつSASを合併する患者に対してCPAP治療を⾏った群とCPAP治療を⾏わなかった群の予後を⽐較した研究では、CPAP治療を⾏った群で5年後の死亡率が明らかに減少したことが報告されており、CPAP治療が脳⾎管障害の再発予防に⼀定の有効性があることが⽰されました。
    また、SASに対するCPAP治療は⾃律神経のバランスや⾼⾎圧の是正、動脈硬化の進展を予防することで脳⾎管障害の⼀次予防に対しても効果が期待されています。

    生活習慣の改善

    SAS(睡眠時無呼吸症候群)の治療において、生活習慣の改善が重要な一環となります。
    減量や寝る姿勢の工夫、アルコールの摂取量の抑制など、日常生活で実践可能な対策があります。
    また、当院では管理栄養士による栄養相談も行っており、個々の状況に応じた食事や栄養面でのサポートも提供しています。

    口腔内装置(マウスピース)

    下あごを前方に固定することで、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に効果が期待されます。
    この方法により、空気の通り道が開かれ、呼吸がスムーズになります。当院では、三宅ハロー歯科において、個人に合ったマウスピースを作成することが可能であり、当院からの紹介状をお持ちいただければ、スムーズにご相談・治療を進めることができます。
    ぜひお気軽にご相談ください。

    外科的手術

    アデノイドや扁桃の肥大が気道閉塞の原因である場合、外科手術が治療法の1つとして考慮されることがあります。
    手術によってアデノイドや扁桃の一部または全体を摘出することで、気道の通り道を広げ、呼吸の問題を改善することが期待されます。

    突然死

    重症SASでは健常人と比べて死亡する確率は2.6倍
    このことは無呼吸自体では突然死はなくても心血管系の合併症による突然死はおこりうることを示しています。
    このデータではCPAP治療の効果は検討されていませんが、CPAP治療で死亡率が減少することも報告されており、SASの早期診断と正しい治療が突然死も減らすことができると考えられています。

    メタボ

    SAS患者さんの49%はメタボリックシンドローム

    SASでは、睡眠中に頻回に繰り返される無呼吸による低酸素や脳の覚醒反応、また胸腔内の過度の陰圧などにより交感神経系が刺激され、心拍数の増加や血圧上昇をひきおこします。
    これらの長年の影響が高血圧、高脂血症、糖尿病などの動脈硬化性疾患の原因となることが指摘されています。
    近年、糖尿病とSASの密接な関連がわかってきたこともあり、2008年6月国際糖尿病連合は、『2型糖尿病患者に対してはSASのスクリーニングを、SAS患者さんに対しては糖尿病およびメタボリック症候群のスクリーニングをすべきである』と勧告しています。
    SAS患者さんに多い中心性肥満と、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の4因子が集積した状態はメタボリック症候群として動脈硬化性疾患の重要で危険な病態とされていますが、SASにはメタボリック症候群が高率に合併していることがわかってきました。

    交通事故

    SASの人が交通事故を起こす頻度はSASのない人の約7倍、一般ドライバーの約2.5倍といわれ、またSASが重症になればなるほど事故率が高くなることが報告されています。
    しかし重要なことはSASを適切に治療することにより事故を起こす確率が改善し健常者と変わらなくなると言うことです。重大な事故から本人と社会全体を守るためにもSASを早期に診断し適切に治療することが望まれます。

    高血圧

    SAS患者さんに高血圧症がよく見られる事は以前から知られていましたが、最近、無呼吸が高血圧症の原因となる事が明らかになってきました。
    SAS患者さんでは、日中覚醒時に血圧が高くなるだけでなく、夜間睡眠中にも血圧が高い状態が続く事が知られています。
    重症のSASに対してはCPAP療法が広く行なわれていますが、長期的なCPAP療法によってSAS患者さんの血圧が低下する事を支持する報告が多くなされています。ただ、眠気のない高血圧を合併したSAS患者さんでは降圧効果が乏しいと言われており、眠気のある患者さんの方がCPAPの降圧効果は高いようです。

    いびき

    SAS患者さんの生活の質(QOL)を調査した結果では、いびきは本人だけでなくベッドを共にするパートナーのQOLも障害するという事実が明らかになっています。
    生活の質(QOL=Quality of Life)とは、人が人間らしく望み通りの生活を送り、人生をどれだけ幸せに感じているかを尺度としてとらえる概念のこと。たかがいびきと思って放置しておくと、知らず知らずのうちにパートナーの幸せを妨げてしまっているかもしれません。
    また寝ている間のいびきや呼吸の停止は本人に自覚がないことも多いので、パートナーから指摘してあげることが大切です。パートナーのいびきが気になるという方は、一度SAS検査の受診を勧めてみてはいかがでしょうか。
    朝までずっと続くいびきや、強弱のあるいびき、仰向けに寝ると大きくなるいびきがみられる場合はSASの可能性が高いので、検査を受けてみることをお勧めします。睡眠中に起こるこれらの症状は本人が気付いていないケースも多いので、できればご家族やパートナーと一緒に受診すると良いでしょう。

    飲酒・喫煙

    飲酒はSASを悪化させる

    日本人は寝酒習慣のある人が多く、週に1回以上飲酒する人の割合は男性48%、女性18%に及ぶという報告があります。
    アルコールは寝つきが良くなると感じる⼀⽅で、睡眠の後半において眠りが浅くなったり、睡眠が分断されたりするなど睡眠に対して悪影響を与えることが明らかになっています。
    また、アルコールは睡眠中に上気道を広げる筋⾁の活動を抑制させてしまいます。その結果、⾆がのどに落ち込みやすくなるなどして上気道が狭窄し無呼吸が起こりやすくなってしまいます。
    通常、無呼吸が起こると⾎液中の酸素濃度が低下し、それがきっかけとなり覚醒を促しますが、アルコールを摂取するとその感度が鈍くなることで覚醒までの時間が⻑くなり、無呼吸の時間も⻑くなることも知られています。

    喫煙者はSASリスクが高い

    現喫煙者は⾮喫煙者に⽐べて有意にSASのリスクが高いということが、アメリカの研究により古くから⾔われています 。
    因果関係は正確にはわかっていませんが、恐らくタバコの煙により⿐やのどの粘膜が慢性的な炎症を起こし、空気の通り道(上気道)がむくんでしまうためと考えられています。

    脳血管障害

    脳⾎管障害とは、脳⾎管に⽣じた異常(⾎液が通わない虚⾎または出⾎)によって起こる疾患の総称です。
    実は脳⾎管障害とSASには密接な関係があり、SAS患者さんと健常⼈を3年間追跡調査した研究によると、SAS患者さんは脳⾎管障害の発症および死亡が有意に多いという報告がされています
    また、海外で行われた研究によると、AHI≧5の睡眠時無呼吸の方は、そうでない方と比べて、脳卒中の発症リスクが2.89倍高まることが明らかになっています。